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近年、ガラスコーティングではなくセラミックコーティングを選ぶ人が増えています。ガラスコーティングにはないさまざまな魅力があり、最上級の仕上がりを求める方や、圧倒的な保護性能を重視する方に支持されています。

コーティングを検討しており「セラミックならではの特徴や、ガラスコーティングと比べたメリットの違いが気になる」という方もいるのではないでしょうか。この記事では、セラミックコーティングの特徴やメリット、ガラスコーティングとの違いを踏まえ、後悔しない選び方までわかりやすく解説します。

セラミックコーティングとは圧倒的な厚みと硬さの最強コート

セラミックコーティングとは圧倒的な厚みと硬さの最強コートであることを解説するイメージ

セラミックコーティングは、炭素や酸素、窒素、金属成分などの化合物を主な原料とするコーティング剤です。従来のガラスコーティングと比べて、紫外線や薬品への耐性、細かな傷に対する保護性能が高く、ワンランク上の仕上がりを目指せるのが特長です。

また、一部の製品では塗膜を重ねて施工することが可能で、層を重ねるほど艶の深みや表面硬度が増していきます。傷が目立ちやすい黒系の車や、見た目の美しさにこだわりたい方には特におすすめのコーティングです。

セラミックコーティングのメリット

セラミックコーティングのメリットについて解説イメージ

セラミックコーティングは、最上級の性能を持つコーティングとして広く知られています。ただし、ガラスコーティングも高い耐久性や撥水性能、紫外線への耐性を備えており、決して劣っているわけではありません。では、それでもセラミックコーティングを選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。

ここでは、ガラスとの違いに注目しながら、セラミックならではのメリットを詳しくご紹介します。

圧倒的な膜厚で擦り傷から塗装を守れる

セラミックコーティングの最大の特長は、ガラスコーティングと比較して形成される被膜の厚さです。これは、セラミックの構成成分が主に金属酸化物や炭素系の無機化合物であり、分子同士が強固に結びつくことで厚く安定した層を形成できるためです。

一方、ガラスコーティングは主にシリカ系の成分で構成されており、分子構造がより単純であるため、厚みを持たせると割れやすく、施工自体が難しくなります。そのため、ガラスコーティングの被膜厚が約0.3〜1.0μmであるのに対し、セラミックコーティングは1〜10μm以上の厚さを持ちます。

この圧倒的な厚みがあるからこそ、ガラスコーティングでは防ぎきれないような洗車時の微細な擦れや、日常の乗り降りによる接触傷などにも高い耐性を発揮します。塗装面へのダメージを軽減し、美しさを長期間保つうえでガラスコーティング以上の効果を発揮するのが、セラミックコーティングの大きなメリットです。

重ね塗りによって柔軟に強さを調整できる

セラミックコーティングは、1層ごとの密着力が高く、層を重ねても剥がれにくい構造になっています。そのため、塗り重ねによって被膜をさらに強化できる特長があります。重ね塗りによるムラや剥がれといった心配もなく安心です。

この性質を活かし、セラミックコーティングは1層のみの仕上げから、複数層による高耐久仕様まで、幅広いグレードが用意されています。予算や使用環境、求める保護性能に応じて、必要な強さだけを選べるのは大きなメリットといえるでしょう。施工内容を柔軟に調整できるため、ライフスタイルに合ったコーティングが選びやすくなっています。

一方で、ガラスコーティングは基本的に単層施工が前提で、重ね塗りによって性能が大きく変化することはありません。むしろ厚塗りするとムラや仕上がりの不具合につながるケースもあるため、予算に応じた調整などはできません。

ガラスでは出せない“しっとり深い艶感”が長期間持続

セラミックコーティングは、厚みのある透明な被膜を塗装の上に重ねることで、深みのある艶を生み出せるのが大きな特長です。被膜が厚いと、光が表面だけでなく塗装面まで届き、そこから反射して戻ってくるため、見る角度や光の当たり方によって“奥行き”を感じさせる艶になります。

この立体感のある仕上がりは、ガラスコーティングのような薄い被膜では出しにくく、特に濃い色の車では仕上がりに差が出ます。黒やネイビーといったボディカラーでは、まるで塗装に深さが加わったような印象になり、存在感がグッと際立ちます。セラミックは耐久性にも優れており、この艶が長く続くのも魅力です。美しさと保護性能の両立ができることは、大きなメリットと言えるでしょう

塗装と一体化するように硬化し寿命が長い

セラミックコーティングは、主成分となるシリカや酸化チタンなどの無機化合物が、塗装表面の微細な凹凸や気孔に入り込みながら硬化するため強力な密着力が備わります。密着力が高くなったことで、経年による浮きや剥がれが起きにくくなりました。

保護層としての役割を安定して果たし続けることで、コーティングの寿命にも大きな差が出てきます。美観と耐久性を両立しながら、長期的に愛車の塗装を守り続けられることは、セラミックコーティングならではの大きなメリットといえるでしょう。

酸性雨や融雪剤など化学的な劣化にも強い

酸性雨や融雪剤といった化学的なダメージに対しても、セラミックコーティングは優れた耐性を発揮します。ガラスコーティングにも耐薬品性はありますが、セラミックは分子構造がより安定しており、化学反応による劣化が起こりにくいのが特長です。

さらに、セラミックは高温で焼き付けたような硬化状態を作り出すため、薬品が表面に付着しても侵食されにくくなっています。その違いが、冬場の融雪剤や酸性雨に長くさらされる環境でも塗装を守り抜く力につながります。耐久性だけでなく、外的要因への抵抗力という点でも、セラミックはカーコーティングとして大きなメリットを持っています。

セラミックコーティングのデメリット

セラミックコーティングのデメリットを解説するイメージ

セラミックコーティングならではのメリットを解説してきましたが、その性能の高さからならではの注意点も存在します。すべてにおいて完璧というわけではなく、事前に理解しておくべきデメリットもあります。ここでは、その詳細について解説します。

初期費用が高くコスト面でハードルを感じる人もいる

セラミックコーティングは、仕上がりや耐久性に優れた最上級のコーティングとされており、その分、施工費用も高額になりがちです。たとえば、ガラスコーティングの相場が5~15万円ほどであるのに対し、セラミックコーティングは15~30万円ほどが一般的です。

もちろん、使用する製品やお店によって前後しますが、費用面での差は無視できません。仕上がり重視であれば納得の価格とも言えますが、コストを最優先に考えている人にとっては、施工費用の高さが最大のデメリットといえるでしょう。

 施工環境に左右されやすく信頼できる業者選びが重要

セラミックコーティングに限ったことではないものの、コーティング効果や美しい仕上がりを最大限に引き出すには、専用の機材や設備が欠かせません。また、徹底した下地処理も求められます。そのため、技術が低く経験の浅いお店で施工してしまうと、高い費用を払ったのに、その美しさを十分に体感できません。

セラミックコーティングは扱いが難しく、特に重ね塗りに関しては豊富な経験が求められます。乾燥にも時間がかかり、仮に途中で失敗した場合は初めからやり直しです。そのため、扱いが大変なことを理由にセラミックコーティングを扱うお店自体も少ないといえます。

近くのお店で手軽に施工できるわけではなく、優良な施工店を探す必要があることも、セラミックコーティングのデメリットといえるでしょう。

関連記事:セラミックコーティングを施工できる専門店の選び方

洗車やメンテナンスを怠ると効果が半減することもある

セラミックコーティングに関する知識として、勘違いされがちなこととして「セラミックコーティングも他の商品と同様にお手入れが必要」という内容があります。確かに、セラミックコーティングはお手入れしなくても、他の商品よりは長持ちしますが、被膜が傷ついていないわけではありません。

適切なお手入れの頻度はガラスコーティングと変わらず、屋外であれば1~2週間に1回の洗車(屋内は2~4週間に1回)が推奨されます。また、半年~1年に1回は傷ついた被膜を修復するメンテナンスが必要です。高い施工費用を払っても、お手入れしなければ効果が半減し、場合によっては数年持たない可能性もあります。

耐久性に優れていても、こまめなお手入れが必要であることは理解しておきましょう。お手入れの負担を減らしたい場合は、会員向けに洗車サービスなどを行っているお店での施工をおすすめします。

関連記事:セラミックコーティングのメンテナンスを自分でする方法や注意点を解説!

プロテクションフィルムほどの保護力はない

高級車やスーパーカーなどを中心に、施工数が増えてきているのが「プロテクションフィルム」で、コーティングとは比べ物にならないほどの圧倒的な保護力を誇ります。その理由はフィルムの厚みにあり、ガラスコーティングで1ミクロン、セラミックコーティングで10ミクロンほどであるのに対し、プロテクションフィルムは150ミクロン以上となります。

セラミックコーティングもガラスコーティングに比べると保護力は高いものの、飛び石などのダメージからボディーを守るのは難しいといえます。塗装やパーツを完全に保護したいという方は、セラミックコーティングよりもプロテクションフィルムの方が最適です。

セラミックコーティングをおすすめする人

セラミックコーティングをおすすめする人について解説イメージ

セラミックコーティングならではのメリット・デメリットで解説してきた通り、コーティングはそれぞれに特徴があり、どれが一番良いというわけではありません。コーティングに求める要望や愛車の使用環境などによって最適なメニューが変わります。

ここでは、セラミックコーティングはどのような人におすすめなのか、解説します。

耐久性にこだわりたい人

セラミックコーティングは、耐久性を重視する人にぴったりのコーティングです。塗装面に強く密着するうえ、重ね塗りもできるため、被膜が厚く仕上がります。これにより、紫外線や酸性雨、線キズなどから車を長期間しっかり守ることができます。

また、製品によって差はあるものの、無機成分を主に使ったタイプが多く、比較的経年劣化しにくい傾向があります。愛車を長く大切に乗りたい方や、数年単位での保護性能を求める方には、特に適したコーティングと言えるでしょう。

仕上がりの美しさにこだわりたい人

セラミックコーティングは、仕上がりの美しさにこだわりたい人にもおすすめです。厚みのある被膜が塗装表面をしっかり覆うため、光の反射が均一になり、まるで鏡のような艶が生まれます。透明感のある深いツヤが出るのも特徴で、見る角度によって陰影が変化し、ボディに立体感や奥行きが感じられる仕上がりになります。

こうした高級感のある美しさは、ガラスコーティングではなかなか再現できないポイントです。ただし、デメリットでも解説した通り、美しく仕上げるには高い施工技術や専用機材・設備が欠かせません。お店選びは慎重に行いましょう。

駐車環境がよく長く乗り続ける人

駐車環境がよく、長く乗り続ける予定のある人にもセラミックコーティングはおすすめです。屋外でももちろん効果は発揮されますが、直射日光や雨風による影響が少ない環境のほうが、より安定して美しさを保ちやすくなります。駐車場所や使用頻度によってはこまめなお手入れが大変で、手間を含めて負担に感じる人には、やや割高に感じてしまうかもしれません。

また、セラミックコーティングは保証期間が長く設定されていることが多く、アフターメンテナンスのサポートが充実しています。愛車に長く乗り続ける人ほど、その恩恵をしっかり受けられるため、コストパフォーマンスの面でもおすすめです。

ガラスコーティングの性能に納得いっていない人

ガラスコーティングを施工したものの「もう少し塗装をしっかり守ってくれたら」「もっと深みのある艶が欲しい」と感じた方には、セラミックコーティングがおすすめです。セラミックコーティングは、厚みのある被膜で塗装面を覆うため、外部からのダメージに対する保護力が高く、見た目もより重厚感のある仕上がりになります。

さらに、製品によっては耐薬品性や耐熱性にも優れており、日常的なダメージに強いのも魅力です。今より一段階上のコーティングを求める方にとって、選ぶ価値のあるメニューです。

セラミックコーティングに関するよくある質問

セラミックコーティングに関する良くある質問に答えるイメージ

セラミックコーティングのメリット・デメリット、適正について解説してきましたが、施工メニューを決めるうえでまだまだ気になることがあるという方もいるのではないでしょうか。ここでは、セラミックコーティングに関する5つのよくある質問に答えていきます。

セラミックコーティングで後悔する人の共通点は?

セラミックコーティングを施工して後悔する人に多いのが、ガラスコーティングとの違いや性能の特徴をきちんと理解しないまま施工してしまったケースです。「セラミック=最強でお手入れ不要」といったイメージだけで選ぶと、思ったほど効果が実感できず後悔することもあります。

たしかにセラミックは被膜が厚く密着力も高いため、耐久性や保護力は優れていますが、基本的なお手入れ頻度はガラスコーティングと大きくは変わりません。どれだけ高性能なセラミック製品でも、まったく手をかけなければ、お手入れを欠かさないガラスコーティング施工車より先に効果が薄れてしまう可能性もあります。

性能だけで判断せず、自分の手入れ習慣や駐車環境に合ったものを選ぶことが大切です。

セラミックコーティングの専門店はどう選べばいい?

セラミックコーティングを施工できる優良なお店かどうかを見極めるには、以下のポイントをチェックしましょう。

・作業別にブースが分かれており、専用設備が整っている
・経験が豊富で、下地処理に力を入れている
・アフターケアメニューや保証の内容が明確で充実している
・利用者の口コミや評判が良い

特に重要なのが、設備と施工環境で、下地処理と仕上げ作業を同じスペースで行っていたり、簡易的な仕切りしかないお店では、ホコリの混入や仕上がりのムラにつながることもあります。熱乾燥装置など専用設備が揃っていれば、コーティングの定着も良く、品質が安定しやすくなります。

また、経験の豊富さは施工事例から判断できます。件数が少ない、または作業内容が曖昧なお店は避けた方がいいでしょう。さらに、保証内容やアフター対応が明確でないと、後にトラブルへと発展する可能性もあります。施工前にこれらをしっかり確認することが大切です。

関連記事:セラミックコーティングを施工できる専門店の選び方

セラミックコーティングを自分で施工するのはあり?

セラミックコーティングの需要が高まったことで、近年はDIY向けの商品も登場しており、自分で施工する選択肢もあります。費用をなるべく抑えたい場合は、数千円〜1万円ほどで手に入る市販のセラミックコーティング剤を使うのもおすすめです。施工しやすいように改良された商品が多く、簡単な手順で扱えるため、まずは試してみたいという方には向いています。

ただし、専門店のような厚みのある被膜や艶感、持続力までは期待できません。とくに中古車のように塗装状態にばらつきがある場合、下地処理が不十分だと効果がうまく発揮されないこともあります。仕上がりや品質を最優先するなら、専門店での施工をおすすめします。

キーパーでセラミックコーティングはできる?

2025年5月時点で、キーパーではいわゆる「セラミックコーティング」の商品は扱っていません。ただ、それに近い性能を持つ高グレードのコーティングメニューも用意されており、価格重視のメニューもあるため、お試し感覚で施工してみたい人におすすめです。

ただし、店舗によって技術力や設備、対応の丁寧さに差があるのも事実です。口コミの内容も店舗ごとにばらつきがあるため、実際に依頼する前に評判や設備環境などをしっかり確認しておくと安心です。

市販品と専門店のセラミックコーティングは何が違う?

一口にセラミックコーティングといっても、商品によって含まれている素材は異なります。そのため、「これが決定的な違いです」とは一概に言えませんが、多くの商品に共通して見られるのが、成分の濃度に差があるという点です。専門店で使われるものは、品質を重視して濃度が高めに設定されている一方で、市販品は施工のしやすさや価格を優先するため、濃度が抑えられていることが多い傾向です。

ちなみに、「セラミック素材が入っている」と思われがちですが、実際にはそういった素材は存在しません。一般的には、ガラスコーティングよりも性能が高いとされるものを便宜的に「セラミックコーティング」と呼んでいるだけで、両者の間に明確な違いがあるわけではないのが実情です。

セラミックコーティングについて理解したうえで最適な施工を選択しよう

記事をまとめるイメージ

セラミックコーティングとは、塗装表面を保護する高耐久の被膜を形成し、光沢や防汚性を長期間維持できるコーティングです。そのため、紫外線や酸性雨、汚れの付着を防ぎたい人にとっては大きなメリットがあります。一方で、価格が高めで施工に時間がかかる点や、定期的なメンテナンスが必要になるケースもあるため注意が必要です。

だからこそ、駐車環境や日ごろの手入れ頻度など、自分の使い方に合ったコーティングを選ぶことが大切です。セラミックコーティングは、屋外駐車が多い方や、できるだけ洗車頻度を減らしたい方、長く美しい状態を維持したい方に向いています。

愛車をきれいな状態で長く楽しむためにも、自分にとって最適なコーティングを見極めて選びましょう。