新しいコーティング剤を導入しても、なぜ売上が増えないのか?
2026年10月20日 NEW!
〜商品を増やす前に考えたい、施工メニューと販売の仕組み〜
カーコーティング業界では、毎年のように新しいコーティング剤が登場しています。
セラミック、ガラス、グラフェンなど、さまざまな技術や素材が紹介され、耐久性、光沢、撥水性、防汚性といった性能も進化しています。
施工店にとって、新しい商品との出会いは、サービスの幅を広げる大切な機会です。
しかし、こんな経験はないでしょうか?
「新しいコーティング剤を導入したのに、思ったほど注文が増えない」
「商品ラインナップは充実したのに、売上が以前とあまり変わらない」
「高性能な商品を扱っているのに、お客様への提案が難しい」
こうした状況を考えるうえで重要なのは、コーティング剤そのものの性能だけでなく、その商品をどのように事業の中に組み込むかという視点です。
今回は、新商品を導入する際に考えたい5つのポイントと、売上・利益への影響を数字で確認する方法をご紹介します。
1.新商品を導入することが目的になっていませんか?
展示会やメーカーの説明会などで、新しい技術や優れた性能を知ると、ぜひ自店でも取り扱いたいと感じるものです。新しい商品を導入することは、お客様への提案の幅を広げ、競争力を高めるきっかけになります。一方で、導入を決める段階で考えておきたいことがあります。
それは、「この商品を導入することで、自店の何を変えたいのか?」ということです。
例えば、次のような目的が考えられます。
- これまで対応できなかった顧客ニーズに応える
- 高価格帯の施工メニューを充実させる
- 施工時間を短縮し、生産性を高める
- 既存メニューの利益率を改善する
- 新たな顧客層を獲得する
目的によって、選ぶべき商品も、販売方法も変わります。
高性能なコーティング剤を導入することと、その商品によって事業を成長させることは、それぞれ異なる取り組みです。まずは導入目的を明確にすることが、商品を売上につなげる第一歩になります。
2.既存メニューとの違いを説明できますか?
新しい商品を追加する際、特に注意したいのが既存メニューとの関係です。例えば、すでに3種類のコーティングメニューを提供している施工店が、新たに2種類の商品を導入したとします。
メニューが5種類になれば、お客様の選択肢は広がります。
しかし、それぞれの商品説明が「高い光沢」「優れた撥水性」「高い耐久性」といった似た内容になってしまうと、お客様は何を基準に選べばよいのか迷ってしまいます。
そこで必要になるのが、商品の役割を整理することです。例えば・・・
スタンダードメニュー
初めてコーティングを施工するお客様や、日常的なお手入れを重視するお客様に向けたメニュー。
主力メニュー
自店が最も提案したい価値を備え、販売件数と利益の中心になるメニュー。
プレミアムメニュー
より高い保護性能や長期的な美観の維持を求めるお客様に向けたメニュー。
このように役割を整理すると、商品ごとの違いが明確になります。大切なのは、単純に性能の優劣で並べることだけではありません。「どのようなお客様に、どのような理由でおすすめするのか」
この説明ができるようになることで、スタッフも提案しやすくなり、お客様も納得して選びやすくなります。
3.商品を増やすことで、販売が複雑になっていませんか?
商品数が増えると、施工店の現場にも変化が生まれます。新しい施工手順を覚える必要があり、商品ごとの説明資料や価格表も整備しなければなりません。また、複数のコーティング剤を取り扱うことで、在庫管理や施工品質の管理にも手間がかかります。
ここで考えたいのは、商品数の増加が、お客様にとっての選びやすさにつながっているかということです。
例えば、お客様が来店された際に、スタッフが5種類のコーティング剤の性能を一つずつ説明する方法もあります。
一方、最初にお客様の希望を伺い、その内容に合う2種類程度のメニューを提案する方法もあります。
「普段のお手入れを楽にしたい」
「できるだけ長く美しい状態を保ちたい」
「予算の範囲で最適な施工を選びたい」
こうした希望を把握することで、提案する商品を絞り込めます。商品ラインナップを充実させると同時に、提案方法をシンプルにする。この両立が、販売の仕組みを考えるうえで重要になります。
4.新商品は、本当に利益を増やしていますか?
ここからは、少し数字を使って考えてみましょう。新しいコーティング剤を導入するとき、仕入れ価格や施工販売価格には目が向きやすいものです。しかし、経営の視点では、材料原価だけでなく、施工時間や作業効率も重要になります。例えば、次のような2つのメニューがあったとします。
| 項目 | 既存メニューA | 新メニューB |
|---|---|---|
| 施工販売価格(税抜) | 80,000円 | 110,000円 |
| 材料原価 | 12,000円 | 20,000円 |
| 施工時間 | 8時間 | 12時間 |
| 材料原価控除後の利益 | 68,000円 | 90,000円 |
| 1人時あたりの利益 | 8,500円 | 7,500円 |
※説明用の架空の数値です。施工時間は1人で作業した場合の延べ作業時間とし、材料原価以外の費用は含めていません。
新メニューBは、販売価格が30,000円高く、材料原価を差し引いた利益も22,000円多くなっています。一見すると、新メニューBの方が収益性が高いように見えます。ところが、施工時間を考慮すると、1人時あたりの利益は既存メニューAの8,500円に対して、新メニューBは7,500円です。
つまり、新メニューBは1台あたりの利益額が大きい一方で、時間あたりの収益性は低くなっています。
もちろん、高価格帯の商品には、ブランド価値の向上や新しい顧客層の獲得など、数字だけでは判断できない役割もあります。しかし、限られたスタッフと作業スペースで売上をつくる施工店にとって、施工時間は大切な経営資源です。「いくらで売れるか」と同時に、「どれだけの時間を使い、いくらの利益を生み出すか」この視点を持つことで、商品の評価が変わってきます。
5.新商品を導入した後、売上はどう変わったでしょうか?
もう一つ、架空の施工店を例に考えてみます。月間20台のコーティング施工を行う店舗が、新たに高価格帯のメニューを導入したとします。導入前の売上構成は、次のとおりです。
【導入前】
| メニュー | 月間施工台数 | 単価(税抜) | 月間売上 |
|---|---|---|---|
| 既存メニューA | 15台 | 80,000円 | 1,200,000円 |
| 既存メニューC | 5台 | 120,000円 | 600,000円 |
| 合計 | 20台 | 1,800,000円 |
その後、新メニューBを導入したところ、月間5台の注文を獲得できました。
【導入後】
| メニュー | 月間施工台数 | 単価(税抜) | 月間売上 |
|---|---|---|---|
| 既存メニューA | 10台 | 80,000円 | 800,000円 |
| 新メニューB | 5台 | 110,000円 | 550,000円 |
| 既存メニューC | 5台 | 120,000円 | 600,000円 |
| 合計 | 20台 | 1,950,000円 |
※いずれも説明用の架空の数値です。
新メニューBは月間5台販売でき、550,000円の売上を生み出しています。しかし、店舗全体の売上増加は150,000円です。なぜでしょうか?。それは、新メニューBの販売によって、既存メニューAの施工台数が15台から10台に減少しているからです。
新商品の売上が550,000円増えても、既存商品の売上が400,000円減少しているため、店舗全体では150,000円の増加となります。これは必ずしも悪い結果ではありません。新商品によって顧客単価が上がり、売上が増えていることも事実です。
ただし、ここで確認したいのは、新商品が新しい需要を生み出したのか、それとも既存メニューの注文が移ったのかという点です。
さらに、先ほどの例のように新メニューの施工時間が長い場合、売上は増えていても、限られた作業時間の中で利益を増やせているかどうかは別途検証する必要があります。新商品の販売件数だけで判断するのではなく、店舗全体の変化を見ることが大切です。
6.導入後に確認したい5つの数字
新しいコーティング剤を導入したら、一定期間後に次の数字を確認してみましょう。
① 商品別の施工件数
新メニューが何台販売されたのか。想定した顧客層に選ばれているかを確認します。
② 店舗全体の売上
新商品の売上だけでなく、既存メニューを含めた総売上がどう変化したかを確認します。
③ 商品別の利益
施工販売価格から材料原価などを差し引き、商品ごとにどれだけ利益が残るかを確認します。
④ 施工に必要な人時
施工人数と作業時間を記録し、商品ごとの生産性を把握します。
⑤ 既存メニューとの販売構成比
新商品が既存商品の代替になっているのか、新たな需要を獲得しているのかを考えます。これらの数字を継続して確認することで、商品の役割や価格設定、提案方法を見直すための材料が得られます。最初から複雑な管理を行う必要はありません。まずは商品ごとの施工件数、売上、材料原価、施工時間を記録するところから始めてみましょう。
7.新商品の導入を、事業成長のきっかけにするために
新しいコーティング剤は、施工店にとって大きな可能性を持っています。新たな技術や性能によって、お客様への提案の幅が広がり、これまで対応できなかったニーズに応えられることもあります。その可能性を事業の成果につなげるためには、商品を導入した後の取り組みが重要です。
・誰に提案するのか。
・既存メニューとどう使い分けるのか。
・どのような価格と施工工程で提供するのか。
そして、導入によって売上や利益がどう変わったのか。
こうしたことを一つずつ整理し、実行し、検証していくことで、新しい商品が自店の強みとして育っていきます。
新商品を導入することは、ゴールではなくスタートです。商品そのものの性能を活かすためにも、施工店としての販売の仕組みを考えてみてはいかがでしょうか。
CLBからのご提案
カーライフビューティーラボ(CLB)では、コーティング剤やカーケア用品の提供に加え、施工店の商品構成や施工メニュー、収益性を考えるための情報提供・経営支援にも取り組んでいます。新しい商品を導入する際には、製品の性能や施工方法だけでなく、既存メニューとの役割分担や販売価格、施工時間、利益構造まで含めて考えることが大切です。
「自店の商品ラインナップを見直したい」
「新商品を導入したが、思うように販売につながらない」
「施工件数だけでなく、利益や生産性も改善したい」
そのようなお悩みがありましたら、ぜひCLBへご相談ください。商品を選ぶところから、売れるメニューをつくり、成果を確認するところまで。CLBは、施工店の持続的な成長を支援してまいります。






